今回、『un』の収録曲の中から、スカベースのムーディーなマイナーコードの楽曲「Lovely Girl」を、1枚の絵にしてくれたSketchさん。絵に描かれた赤い服を着た女の子は、どんな女の子なのでしょうか。Sketchさんのアトリエにおじゃましてお話を伺ってきました。

コバユー: この絵の女の子は…私ですか?

Sketch: いや、そういうわけじゃないんだけどね。『Lovely Girl』です。

コバユー: 12曲の中で、『Lovely Girl』を選んでくれたのは、どこがポイントだったんでしょうか?

Sketch: タイトルで選びました。一番やりやすいかなと思って。

コバユー: 5月に展示を見させていただいて、Sketchさんの作品をすごく気に入ってしまったんですが。その、思いっきり感というか…。

Sketch: 思いっきり感?

コバユー: うん、絵が思いっきり訴えかけてくるような感じがすごく好きで、今回、是非描いていただきたいなと思ったんです。昔からこういう絵を描かれてたんですか?

Sketch: そうですね。もう、20年近く。

コバユー: 誰かの影響とか、そういうのはあるんですか?

Sketch: Ed RothっていうRat Finkを描いた人の影響がでかいですよね。

コバユー: ちなみに、ロウブロウアートっていうのはどういう意味なんでしょうか?


年期の入った米軍ハウスをアトリエにしているSketchさん。家具もレトロなアメリカン家具で統一されオシャレ。

Sketch: なんかこう…なんて言うんだろうなあ…。わからないですね(笑)。自由な感じというか、芸術っぽくないというか、そこら辺にいる人でも描くような絵というか…。

コバユー: 概念がない感じがいいですよね。決まってないみたいな。私も、かしこまったものが苦手で、自由に、落書きみたいな絵を描いたりするんですけど…。まわりから、「かわいくない」とか「怖い」って言われるんですよ(笑)。

Sketch: それは、内面が出てるとか(笑)。

コバユー: 何も考えずに描くと、グロテスクな部分が出てきちゃったり…うーん、何も意識してないのかも。例えば、電話しながら描く落書きって、何の思惑もなく、脳から出てくるような感じあるじゃないですか。そういうのが大好きで。私、小さい頃、電話の隣にあるメモ帳の落書きを…ママのとかおばあちゃんのとか、いっぱいコレクションしてたんですよ。友達の家に行っても「ない?」とか言ってもらってきて。

Sketch: それ、すごくおもしろいすね(笑)。

コバユー: あと、音もそうですね。マイナーコードとか結構好き。『Lovely Girl』ってマイナーコードの曲で、すごくSketchさんの画風にピッタリだなと思ってたんですけど…そしたらSketchさんが『Lovely Girl』を選んでくれて「わぉ」って。

Sketch: おお。

コバユー: でも想像してたのとギャップはあります。

Sketch: ああそうですか。どんな…。

コバユー: 私が「こういうのが来るのかも」って思っていたものよりは、コミカルな感じになってるなっていうのが感想です。でも、すごく存在感ある!色の選び方とか、絶妙だよね。うん。

Sketch: いつもは、色もボワッとしてる感じが好きなんだけど、今回のは割とはっきり…。

コバユー: ハッキリした感じですよね。それは何で?

Sketch: さっき言ったように、ちょっと、漫画っぽくコミカルにしたかったのと。あと、赤がいいかなって。


何かの置物をみつけてじっと見つめるコバユー。※オモチャです

コバユー: 私がイメージしていたのは、青と、緑の世界…あ、違う。黒と緑だ。だから全然違って、面白いです。この子はどんな女の子なんですか?

Sketch: マセた女の子かな。

コバユー: ニヤっとしてますが、こっち見て。

Sketch: そうですね。誘ってる様な。

コバユー: ブラジャーはしてないんですか。

Sketch: してないですね(笑)。

コバユー: 今回、ここはちょっと難しかったっていうのはありますか?

Sketch: いやあ、全体的に難しかったですね。うーん、やっぱり女の子だっていうのもあるし。うーん、難しかった。

コバユー: 私は、前に見たのがモンスターの展示だったので、『Lovely Girl』っていう名前のモンスターになっちゃうのかなって、いろいろ想像してたんですけどね。

Sketch: うんうん。それも考えたんだけどね。だけど、どうもうまくいかず。結構時間かかりましたよ。

コバユー: どのくらい時間かかったんですか?描くの。


かなり書き込んである下書き。ゴリラの女の子はボツになった作品。

Sketch: んー、2週間くらい。

コバユー: 2週間!?ありがとうございます…。

Sketch: まあ大体いつもそれくらいかかる。考える時間がかかって。実はこんなのも描いたんだけど…。ゴリラの女の子とか、こっちのは歳がちょっと行き過ぎてるかなあって思って。(写真左下)

コバユー: 私大好きこういうの。その、ちょっと歳とってるっていう感覚は、ちょっとうれしいかも。『Lovely Girl』は、普段出してる年齢層より、ちょっと年齢の高い女の子像で描いたので。

Sketch: へー。ああ、なんかそんな感じだったもんね。うーん。タイトルでいくとアレかなって思って。Girlだから。そっちだとLadyになるからね。

コバユー: あそっか。でも私の中では、おばあちゃんでもGirl。

Sketch: なるほど。なるほどだね。…じゃあおばあちゃんでもよかったかもね。

コバユー: いろんな想像しながら描くんですか?たとえばこの子がどういう生活をしてるコで…

Sketch: いや、生活までは考えないけれども…。性格とか、表情とか、少しエロく見せようとか、なんかそういうこと考えながら。

コバユー: 私はいろいろ浮かんじゃってるんだけど、勝手に。なんか、田舎に住んでそうな感じがする。

Sketch: うん、田舎だね、田舎。

コバユー: 田舎に住んでるのに、田んぼの土手とかを歩いてるのに、都会ぶって、オシャレして歩いて。本当はイイ子なのに、ちょっと、こういうときもあってもいんじゃない?みたいな…。

Sketch: うんうん。歪んでしまっている。大体俺の描く絵は歪んでるんだけどね(笑)。


ショップの看板など大きな作品を制作することが多いSketchさん。デスクもかなり大きい。

コバユー: 名前つけたいな。

Sketch: つけてください。

コバユー: 「けいこ」

Sketch: (笑)日本人か!

コバユー: え、外国人だったの?私の中で日本人だなあ。

Sketch: うん、俺の中では外国人だけどねぇ。15歳くらいの。

コバユー: へーそうなんだ!私、32歳くらいに見えたけど…。

Sketch: ウソ!ウソ!!マジか!!すげー若く描いたのにな。

コバユー: これ多分男の人と女の人の感覚の違いかもね。でもああいうオッパイのコいた。10代の頃。

Sketch: たまにいるよね(笑)。

コバユー: いるいるいる。ロケット発射しそうな…。で、机の上に置いてたりするの。私の席の後ろの女の子がそうだったの。そう、だから「重たいの?」って聞いてた。

Sketch: え、ほんとに机の上に置いてたんだ(笑)。

コバユー: Sketchさんは、子供の頃どんな子供だったんですか?

Sketch: 子供の頃からあんま変わってないけどね。人見知り。…引っ込み思案。

コバユー: そうなんだ。どんなことして遊ぶことが好きだったんですか?

Sketch: やっぱり家で遊んでる方が好きだったかな。絵も描いてたし。


過去の作品は、売ったりあげたりして、ほとんど手元に残っていないそうです。

コバユー: 私、イモ堀りとか好きだったなあ。

Sketch: イモ堀り(笑)。どこの出身なんですか?

コバユー: 長野です。クラスの畑があって、そこでいろんな野菜育てて。そこでとうもろこしとか、おイモとか育って。

Sketch: 掘るのが好きだったの?そうなんだ(笑)。

コバユー: うん。あと、帰り道に牛を飼ってるところがあって、その牛と会話してから帰るみたいな。

Sketch: へー、おもしろいなあ。変わった子だね(笑)。牛と何話してたの?

コバユー: 「今日も帰る時間が来たよー。」みたいな感じで、心の中で。言うとわかってくれる感じがして、ずーっと牛と対面しながら話してた。「もう帰ろうよー」って友達にいわれながら(笑)。

Sketch: あ、友達も一緒ねる。一人じゃないんだね(笑)。

コバユー: そういえば、Sketchさんは前会った時に、どんな音楽を聴くのか質問したら、aikoとかpuffy聴くって言ってたの、ホントなんですか?

Sketch: ホントですよ。コバユーも聴いてますよ。

コバユー: ウソー!よかったあ。え、許容範囲だった?

Sketch: あ、もう全然。もちろん。


モンスターの手のおもちゃを見つけて遊ぶコバユー。

コバユー: 女性ボーカルが好きなんですか?

Sketch: うん、女性ボーカルが好きなんですよね。…日本の(笑)。

コバユー: このアトリエでaikoとかpuffyが流れてるイメージが全くつかないですね。Sketchさんのファンの人は、いかつい男の人というか、ロカビリーとかハードロック聴いてるような人が多いんじゃないですか?

Sketch: そうかもしんないね。だからよく音楽の話とかされるんだけど。俺あんまり好きじゃなくて(笑)。音楽の話振られていきなりpuffyが好きだって言う。

コバユー: やばい、合格です。

Sketch: 合格ですか?いや、最初にそんな話したから、結構ひいてたかなって思って。仕事こないんじゃないかって思ってたんだけど(笑)。

コバユー: ううん、そこがすごい親近感が湧きましたし。Sketchさんの一日の生活スタイルってどんな感じなんですか?朝何時くらいに起きる?

Sketch: まあ昼くらいですかね、で起きてすぐここでタバコ吸ってるかな。音楽聴いて。

コバユー: 描くときって例えばこういう目的…モンスター展とか目的があるとバーって描いちゃう方なのか、一個ずつ…

Sketch: いやもう締切。締切になってもう…ギリギリになってやるみたいな(笑)。それまでずーっとここでタバコ吸ってる。

コバユー: へーすごい似てるそれ!私も…なるべく自由にしてって言うんです。マネージャーとかに。なるべく自由時間くださいって。

Sketch: うんうん、それがないとね。機械的になっちゃうもんね。そうだよなあ、絶対…。

コバユー: ちゃんとこれもあれもやってって。周りはすごい必死でやってくれてて、それもわかってて。でも私だけサボってるみたいに思われちゃって、ぶつかったりしたこともあるんですけど。けど私そういう時間がないと、書けなくて。

Sketch: うんうん、絶対そうだよね。…俺もすごいサボってる様に見られる。

コバユー: Sketchさんは洋服のブランドもやってたんですよね。

Sketch: 洋服やはもう止めちゃいました。でもこれから雑貨屋さん始めます。雑貨メーカー。まあ、まだ全然決ってないんだけれども。もうずっとそれはやりたくて。フィギュアとか作ったり。

コバユー: えー、めっちゃ気になります。めっちゃ買に行きます!Sketchさんにとってこういう絵を描くことってどういうことなんでしょうか。


モンスターのオモチャやフィギュアがたくさん。これからはフィギュアなどオリジナル雑貨のメーカーをやりたいというSketchさん。

Sketch: 表現…かな。自分の表現。うーん。絵を描くことしか出来なかったというか。あまり何も出来ないタイプなので(笑)。

コバユー: ちなみに、今回、コバユーの曲を聴いたインスピレーションから生まれた『Lovely Girl』ですが、この絵の女の子が、目の前に現れたらどうします?現れて、こういう目で見られて。

Sketch: 見てるだけだね。だって、15歳だよ?俺のイメージじゃ。

コバユー: あー、そうなんだ。好きな感じじゃないんですかね?

Sketch: 好きな感じじゃない(笑)。

コバユー: それはショックだなあ。私はSketchさんの好みの『Lovely Girl』を表現出来てないってことじゃないですか。曲で。

Sketch: いやそこはいんじゃないですか?好みは心の中にいつも(笑)。っていうか、意外と普通なんですよ。趣味は?って好みは?って…普通なんですよ(笑)。

コバユー: ねー、それがどうしてそういう…こういう作品達が生まれてくるのかがすごい不思議なんですよね。

Sketch: あのー、全部そうなんだけども…そのチンコの龍とかもそうだけども。ギャグみたいな感じなんだよね。家に飾って、おもしろいものがいいかなっていう。それがすごい好きっていうのとまた違うのかな。だからそういう意味では服とか作るのとかとまた、近いのかもしれない。内から出て描くとかそういう感じでもない。

コバユー: 人に提供する時にはユーモラスがあった方が楽しいとかそっちの方の考え方でやるんですね。

Sketch: そうですね、デザインというか。

コバユー: すごいいい話きいた。えー、私はどうなんだろうな。あんま考えてないんですけど。そこまで多分、考える余裕がまだないんだろうけど。

Sketch: うん…まあでもいいものを作れれば、一番いいですよね。と、きれいにまとめてみた(笑)

コバユー: ありがとうございました!

Sketch(ロウブロウアーティスト)

日本屈指のロウブロウアーティスト。Von DutchやEd Rothに多大な影響を受け、1995年から独学でピンストライプやイラストを描き始める。2005年に自身がデザインを務めるアパレルブランド『RAT RAND』を立ち上げ、恵比寿にショップをオープン(2009年終了)。現在、ロウブロウアーティストとして創作に専念。

sketch.tv


Photo&Text by トミモトリエ


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